BLUE GIANT SUPREME(ブルージャイアント シュプリーム)4巻レビュー 人が何かを決意するのに明確な理由などないのかもしれない

『BLUE GIANT SUPREME』4巻のレビュー。

3巻でついにハンナという小柄な女の子のベーシストとバンドを組むことになった大。

2人が新たなメンバーを見つけるためにベルリンに旅立つところで3巻は終わった。

3巻のレビューはコチラ↓

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『BLUE GIANT SUPREME』4巻レビュー(ネタバレ含む)

4巻はラファエルというドラマーが登場するところから始まる。

フランス人でジャズが大好きなドラマーであるラファエルは毎日メンバーを変えてバーでジャズを演奏する日々を過ごす。

彼は昔のジャズプレイヤーに倣って一緒にプレイする相手を流動的に変えてぶつかって磨かれてまたぶつかる中で強いプレイヤーになることを目指している。

そんなラファエルの元にブルーノというジャズピアニストが現れる。以前一緒に出演したライブを途中で投げ出したブルーノをラファエルは快く思っていない。

Truth or Dare(真実か挑戦)

会話を拒むラファエルにブルーノはTruth or Dare(真実か挑戦)というゲームをしようと持ちかける。

「真実」を選んだら相手に質問に答える。ウソは許されない。

「挑戦」を選んだら「できない」はない。

ゲームの中でブルーノは常に「真実」を選び、ラファエルに答えていく。

その会話の中で、なぜブルーノがラファルとのライブを放り出したのか、彼が一番好きなジャズプレイヤーは誰か、なぜポーランド人の彼がドイツに来たのかが語られていく。

僕はこのTruth or Dareのエピソードがこの4巻の中で一番好きだ。

派手さはないし、感動もないのだけれど、2人の男の間にあった壁がこの他愛のないゲームで少しずつ少しずつ崩れているところは読んでいてとてもクールだった。

それにこのゲームの中でブルーノという初登場の人物のキャラクターや生い立ちがコンパクトかつ魅力的に語られていく表現手法もとても面白かった。

常にTruthを選択するブルーノに対して、ラファエルはDareを選び続ける。

そして、強い酒を挑戦的に飲み続ける。

最後にDareを選択し、「次は何を飲めばいい?」と尋ねるラファエルにブルーノは「いや、何も飲まなくていい。2人(大とハンナ)とセッションしろ」と伝える。

ブルーノはレコード会社の重役(ハインドル)に頼まれてラファエルに大とハンナと一緒に演奏してみてほしいという提案を伝えに来たのだった。

ヨーロッパ1のバンドになろう

大とハンナと一緒に演奏をすることになったドラマーのラファエルとピアニストのブルーノ。

でも、ラファエルは「一緒に組む相手は流動的に変えて特定の相手とは組まない」という姿勢をなかなか崩さない。

そんな中、大はセッションして良かったと思ったら彼らが最初に座っていたテーブルに戻ってこようという提案をする(いつの間にか大の英語がそこそこ上達している!)。

まずステージに上がり、フリーセッションに参加したのはハンナだ。

彼女のベースの強い音についていけず、音を上げるピアニスト。

そのピアニストに代わって今度はブルーノがステージに立つ。

サックスとドラムは2人の演奏についていけない。

そこで、大が「もしも一緒に組んだら、ヨーロッパ1のバンドになろう」とラファエルに告げ、ステージに上がる(僕は大のこういうストレートでわかりやすい言葉が大好きだ)。

最後にはついにドラムもリタイアし、ハンナがラファエルにステージに上がるように呼びかける。

初めて一緒にステージに立つ4人。

演奏するのはミディアムテンポのブルースだ。

4人の演奏は観客を圧倒する。

4人自身も演奏には一定の納得をするが、演奏後最初のテーブルに戻って来たのは、大、ハンナ、ブルーノの4人だった。

ラファエルはやはり3人と組むことはせずに「すまないな」という一言を残して店を出ていってしまう。

月がキレイだったから

なぜラファエルが自分達と一緒にバンドを組まないのかー。

何が納得できなかったのかー。

大はその理由を聞くために大はラファエルを訪れ、自分達のプレイの感想を聞く。ラファエルの感想の中には、彼が大達と一緒に組まない理由は見当たらなかった。

でも、ラファエルは、自由であるジャズの音楽性と同じように、自由にいろんな人と組み、自由な場所で演奏し、自分が死ぬまで楽しくやっていきたいと話をする。

大はラファエルを説得することをあきらめ、彼の元を去る。

けれど、ラファエルは大がもう一度振り返って自分のところに戻ってくるのではないかと彼の背中をずっと追った。

彼の視線の向こうには、空に浮かぶ丸い月があったー。

その後、ラファエルは他のメンバーと一緒に演奏をするが、音楽に対する姿勢の不一致を感じる。

その帰り道、電車に揺られながら見上げた空にはまた丸いキレイな月が浮かんでいた。

 

その翌朝ラファエルは突然大が宿泊するホテルを訪れ、一緒に朝食をとりつつ、バンドに加わることを告げる。そして、ブルーノとハンナにもメンバーになることにしたと伝えて回る。

ハインドル(レコード会社の重役)に「特定のメンバーとは一緒にプレイしない」という信条を曲げてまでバンドに入ることを決めた理由を聞かれ、ラファエルはこう答える。

月が……キレイだったんで

ラファエルがなぜ心変わりをして大達と一緒に演奏することを選択したかは明確に描かれていない。

でも、僕には彼が大の言葉や姿勢に心を動かされたようにも見えたし、もともと彼が心のどこかで自分と同じような志を持ったプレイヤーと一緒に演奏し続けたいという希望を持っていたようにも見えた。

もしかしたら、人が心変わりをしたり、何かを決めたりするのに、誰が聞いてもわかりやすく理解できるような明確な理由なんてないのかもしれない。

広い音でヨーロッパ1のバンドになる

サックスの大。

ベースのハンナ。

ピアノのブルーノ。

ドラムのラファエル。

大はヨーロッパに来てついにバンドを手に入れた。

そして、いよいよ4人の練習が始まる。

まず彼らはリーダーを決め(ブルーノは不服そうだったが、リーダーは大に決まる)、オリジナル曲の練習を始める。

オリジナル曲はブルーノが作った難解なナンバーだ。

難解なナンバーをそれぞれが自主練を重ねてバンド練習に臨むが、大はブルーノの曲に対して「I don’t like」と告げる。

この曲は、ジャズ好きに向けられてる。

ジャズファンに向けて成功しても、たかが知れてる。

それじゃ足りない。

ジャズを聴いたことがない人が感動したら、凄いことだ。

オレ達の音はすごく広く、ヨーロッパ1になるには、全員のためにプレーしないと。

大はそうメンバー達に告げる。

ブルーノは自分の曲に「I don’t like」を突きつけられ、腹を立てるが、4巻の最後では大達と一緒に勝つことを宣言する。

5巻では彼らが観客の前で演奏し、ヨーロッパ1のジャズバンドになっていく様子が描かれるだろう。

楽しみ!

そしてBonus TrackはなぜかDef Leppard(笑)!

 

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