BLUE GIANT SUPREME(ブルージャイアント シュプリーム)3巻レビュー 『次の音』は新しく聴こえる

『BLUE GIANT SUPREME』3巻のレビュー。

前巻のレビューからかなり時間が経ってしまったけど、ようやく3巻を読むことができた。

SUPEREME編になり、ドイツに渡った大は、2巻でジャズベーシストのハンナと出会う。海外でようやくこの人と一緒に音楽を奏でたいと想える人に巡り会えたのだ。

2巻のレビューはコチラ↓

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『BLUE GIANT SUPREME』3巻レビュー(ネタバレ含む)

巻は、ハンナが初めて大の演奏を聞く場面で終わった。

演奏が終わった後、夜の街を2人で歩く大とハンナ。

この場面では、なぜかハンナの姿だけが描かれ、大は言葉のみでの登場となる。

物語は、大の言葉に対するハンナの反応を中心に描かれていく。

最初この場面を読んだ時「なぜ大が登場しないのか」と不自然さを感じたのだけれど、何度か読み返してみると2人のカットバックで話が進んでいくよりも、ハンナの表情のみにクローズアップした方がたしかに良い演出のように思えてきた。その方が、ハンナの表情を通して大の熱い気持ちがストレートに伝わってくるのだ。

そして、2人は、彼らと同じようにハンブルクで下積み時代を過ごしたビートルズのモニュメントの前で握手を交わし、バンドを組むことになる。

ここで久々に大の姿が物語の中に登場するのだけれど、それまで言葉でしか登場しなかったぶん、彼の凛とした表情が印象的だ。

また、「彼ら(ビートルズ)はきっと世界一になるなんて知らなかった。恐れも何も知らずにやってたから…だから世界一になれたのかもね」と言うハンナに返した大の言葉も熱かった。

「ビートルズ」は世界一を知らないで世界一になった。

でも、ボクらは「ビートルズ」を知っている。ボクらは世界一になれる。意識的に。

バンドを結成した2人は、ハンスブルクの楽器屋(2人が最終的に出会う場を作ったボリスが経営する店)の試奏室で練習を開始する。

『次の音』は新しく聴こえる

試奏室での練習を続ける2人だったが、大は更に前進するために、楽器屋の店主であるボリスにライブをしたいと申し出る。

音楽業界に繋がりがあったボリスは、2人のために評論家やレーベルの人達、ドイツジャズ界の重鎮を呼び集める。

ライブ前に、ボリスは重鎮達に語る。

私は彼らの音が特別なのではと思い始めている。

かつての素晴らしいジャズの時代を感じてもいる。

私の耳が信用できるものなのかどうか教えてほしい。

初めての大とのライブ、そして重鎮達の目に緊張するハンナ。

彼女は、ステージ上でつまらないミスを連発してしまう。

一方、大はそんな彼女に「We up,together(一緒に、上がろう)」と左手の親指を立てると、まるで練習とは別人のような素晴らしいソロを披露する。

そのソロを耳にした時のボリスの言葉が、僕はこの巻で最も印象的だった。

彼は、大やハンナがかつて自分が好きだった古き良き時代のジャズを継承してくれるプレイヤーになるのではないかと考えていた。でも、大の演奏を聴いたボリスは考えを改める。

てっきり僕は、君らはぼくらの宝物を…

僕が大好きだった頃の音楽を引き継ぐ…

僕が大切にしてきた音の…バトンを渡せる若者達だと思っていたけれど…

まるで違う。

君らの演ってる音楽は、君らの時代の音楽だ。

そうか…

そういうことか…

”次の音”というのは……

新しく聴こえるんだ。

一見すると何気ない言葉なのだけれど、僕はこのボリスの気付きや言葉がとても好きだ。

先達が若者に対してしなければならないことは、自分達が知っている枠組みの中で若者を判断することでもなければ、枠組みの中にハマる若者を見つけ出すことでもない。

先達がしなければならないことは、枠組みを超えようともがく若者や、枠組みの外で奮闘する若者の背中をそっと押してあげることなのだ。

 

2人の演奏は音楽界の重鎮達の中で賛否両論を呼んだが、一番の収穫は、重鎮達が2人についてちゃんと語り合ったということだった。

 

大とハンナは初めてのライブの結果に満足しつつも、新たな仲間を見つける必要性を感じ始める。

そして、ベルリンに行くことを決意する。

 

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