BLUE GIANT SUPREME(ブルージャイアント シュプリーム)2巻レビュー 孤独な2人を音楽が繋ぐ

今回は『BLUE GIANT SUPREME』2巻のレビュー。

ドイツに渡った主人公・大が仲間、演奏する場所、そして彼の音楽に心を動かされるオーディエンスを見つけたのが1巻だった。

2巻ではいよいよバンドメンバー探しが始まる。

1巻のレビューはコチラ↓

BLUE GIANT SUPREME(ブルージャイアント シュプリーム)1巻レビュー 世界を回す方法
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『BLUE GIANT SUPREME』2巻レビュー(ネタバレ含む)

2巻の前半では、クリスの友人達が大のサックスの演奏に魅了され、ジャズに興味を持っていく様子が描かれる。

そんな中、大はバンドメンバーを探してミュンヘン中を回る。

ここでもやはりクリスは大に対して1巻と同様に優しい。

メンバーを探し回って夜遅く家に帰ってくる大に、温かい飲み物を用意してあげる。

ここでも大はクリスに「どうして家族でもないオレにそんなに優しいの?」と聞く。

その質問に対して、クリスは大学に入った最初の年に行ったヨーロッパ旅行のことを語り出す。

それは、1巻のレビューでも書いた彼が『give&give&give』を通して世界を回そうと思った原点となる興味深い話だ。

旅行中に泊まったユースホステルの喫煙所で必ず会い、クリスに煙草をせびってくる奇妙なジョージア人。

クリスは彼に対していつも煙草を1本あげていた。

ある日、クリスは喫煙所でとてつもない腹痛を感じる。

その時、「誰か助けてくれ!!」と何度も何度も叫んで助けを呼んでくれたのが、そのジョージア人だった。

退院後、またいつもの喫煙所で、クリスが煙草を吸っていると、その男が現れた。

クリスはお礼に、と彼にひと箱丸ごと煙草を渡した。

ところが、そのジョージア人はそこから1本だけ抜いて「ありがとう」と言った。

とても印象的な話だ。

なぜジョージア人は1本だけしか煙草を受け取らなかったのか…。

いろいろな考察ができるのだろうけれど、僕は「ひと箱丸ごと貰ってしまえば、もうしばらくクリスから煙草を貰えなくなるからじゃないか」と考える。

少しの親切と、少しの親切から生まれるコミュニケーションの連続が人間関係や信頼関係を構築していくのだ。

そして、それが世界を回していくのだ。

孤独な2人を音楽が繋ぐ

ある日、大はバーで力強いベースを弾く小柄な女性に出会う。

ハンナ・ペータースだ。

彼女の音に魅了された大は、一緒に演奏がしたいとストレートに伝えるが、断られてしまう。そして、ハンナは「このバンドのツアーが終わったら私はハンブルグに帰る」とだけ告げて大の前を去ってしまう。

当然、ここで引き下がる大ではない。

ハンナを追ってハンブルグまで引っ越し、楽器屋やバーを回り、まるでストーカーのようにハンナを探し回る。

そんな中、ハンナはサポートメンバーとして所属するバンドの中で孤独な日々を送っていた。

彼女はジャズを愛し、ジャズの偉大さを信じる人間だ。

でも、彼女の情熱はほかのメンバーの前では空回りをする。

熱くなればなるほど、メンバーとはすれ違い、思っていることも素直に言えない関係になってしまう。

挙句の果てには、自分の陰口が囁かれている場にも出くわしてしまう。

ハンナは大好きなジャズを通して、他者と対話をすることができない孤独な女性として描かれる。

打ちひしがれるハンナのもとに一本の電話が入る。

大の想いが通じ、ハンナはついに大が彼女を探していることを人づてに知ることになるのだ。

そして、ついにハンナは大のサックスの演奏を聴くことになる。

その場でハンナは「いくつか、腹立たしいこと」を感じる。

「1つは、彼が若いアジア人というだけで、彼の力を見くびっていた自分に。」

「2つめは、彼が彼の音について、私に説明しなかったこと。」

「3つめは……この彼が全くの無名だってこと。」

「4つめは…彼と一緒に演奏することに、少し怖じ気づいてる自分に対してだ。」

 

ようやく知り合いができた街ミュンヘンを飛び出し、見知らぬ街ハンブルグで孤独にハンナを探し回った大。

そして、大好きなジャズで他者と理解しあえないハンナ。

この巻では、最後に孤独な2人が音楽を通じてようやく繋がる。

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『BLUE GIANT SUPREME』3巻のレビュー。 前巻のレビューからかなり時間が経ってしまったけど、ようやく3巻を読むことができた。 SUPEREME編になり、ドイツに渡った大は、2巻でジャズベーシストのハンナと

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