BLUE GIANT(ブルージャイアント)6巻レビュー 『チーム』が動き出す!

さあ、いよいよ後半戦。

今回は6巻のレビュー。

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『BLUE GIANT』6巻レビュー(ネタバレ含む)

5巻ではテナーサックスの大、ピアノの雪祈、ドラムの玉田という3人構成のバンドがついに結成された。

彼らが『チーム』になっていく過程が描かれるのが6巻だ。

チームはビジネスの世界でも重要視されるが、僕はチームに必要なのは次の3つだと思う。

  1. 共通の目的があること(ビジョンやベクトルの共有)
  2. 役割分担の明確化
  3. メンバー間の人間関係の強化

6巻で主に描かれるのは「3.メンバー間の人間関係の強化」だ。

3人のメンバーの挫折や変化を通して、チーム内で次第に人間関係が強化されていく物語が6巻では展開される。

玉田の挫折と覚醒

3人のメンバーの中で唯一ダントツ初心者の玉田。

6巻で最もはっきりと成長が描かれたのは彼だろう。

この巻では3人での初のライブが行われる。ライブをしても「ハジかいて終了。メリットなしです」と言う雪祈に対して「今の自分達が客の前でどうなのか。本当に何も起こらないのか。やってみねえと分かんねえべ」とゴリ押しでライブを企画し、チラシ撒き等の地道な集客活動をする大。

実際ライブは開催されるが、そこでドラムの玉田は大きな挫折を経験する。

サックスとピアノは客から一定の賞賛をされるが、玉田は「オレ一人の負け」だと感じる。ライブ中他の2人のメンバーから投げかけられた心配そうな視線に失敗でしか答えられなかったからだ。

その経験はトラウマとなり、玉田はスティックを持つ時手の震えを感じるようになってしまう。

そんな時玉田はブラスバンドでトランペットを始めた中学生に出会う。

初心者の中学生は、まだ先輩からトランペットに触らせてすらもらえない。

そんな彼に玉田は最初「ガンバって」と声をかけるが、その後自分の言葉を「『ガンバって』じゃなかったわ。先輩さ、ぶっ飛ばしちゃえよ。オレならそうすっけどね」と訂正する。

6巻では玉田のドラムに何か特別な技術的成長があるわけではない。

でも、「大も雪祈も、っつーか全員、ぶっ飛ばす」という単純明快なモチベーションが彼の中に生まれる。

この精神的な変化が玉田の成長であり、覚醒だ。

ジャズへの純粋な想い貫く大

個人的には、上京して以降大というキャラクターの絶対的な成長が描かれる場面は減っていくように感じた。

ジャズに対する彼の純粋な想いも変わらない。

上京以降描かれるのは、相対化された彼の技術や想いの魅力だ。

6巻で大は3人での初めてのライブを企画し、1人でチラシを製作し、それを地道に駅前で配布する。

チラシ撒きの最中に彼が言う「一にジャズ‼︎二にジャズ‼︎三、四もジャズ

で全部ジャズっす‼︎」という言葉が彼の想いと姿勢を一番シンプルに表現しているように思う。

そして、配っても配っても捨てられるチラシを拾う彼の姿に大というキャラクターの純粋な魅力が表れている。

許容する雪祈

6巻で最も成長や変化が描かれるのは玉田だ。

でも、初登場からの変化、そして6巻以降の変化が大きいのは雪祈だと思う。

5巻の終わりで有名なジャズギタープレーヤーである川喜田に誘われて彼のバンドのライブに参加する雪祈。

そのライブも大成功に終わり、雪祈は川喜田から正式にバンドに参加するように要請される。

でも、そこで雪祈が感じたのは自分がジャズを本気で始めたのは「技術や経験を超える…何かに導かれるような『超自然的な演奏』のためだ」と思い返し、自分にその経験をさせてくれるのは、川喜田ではなく、大だと気づく。

そして、彼は大や玉田といった他のメンバーを許容し始める。

初ライブを終えて落ち込む玉田に「思ってたより、悪くなかったわ」と声をかける雪祈のセリフや表情は印象的だ。

やっぱ飲み会でしょ!

6巻で大、雪祈、玉田はバンドというチームになっていく。

玉田は挫折と覚醒を通して。

大はジャズへの純粋な想いや行動を貫き続けることを通して。

雪祈はメンバーを許容することを通して。

でも、細かいことは放っておいて、僕がこの中で一番『チーム』を感じたのは3人での焼肉の場面だ。

難しいことを抜きにすると、「同じ釜の飯を食う」ことや「盃を酌み交わす」ことは良いチームを構築していくには、最も欠かせないことだと思う(実際、大が作った初ライブのチラシの写真にはこの焼肉の時の写真が使われる)。

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